【建築好き必見】ヨーロッパ観光をより楽しむために西洋建築史を学ぼう

ヨーロッパには様々な歴史的建築物が点在しており、旅行中にはそれら多くの建築物を目にすることになります。ヨーロッパの建築の歴史、いわゆる西洋建築史を学ぶことで、訪れた街の歴史的な背景を感じ取ることが出来るようになり、ヨーロッパ観光をより楽しむことができるんです!

建築様式とは

ファッションや美術などと共通するように、建築物にも時代ごとの流行りが存在していました。その時代ごとの建築物における流行の特徴が、「建築様式」として整理されているんです。以下では、ヨーロッパの建築様式の変遷を辿っていくことで、西洋建築史について学んでいきましょう!

ギリシャ・ローマ建築

ギリシャ・ローマ建築は、西洋建築史の中で最古の建築様式として位置づけられています。ギリシャ建築として紀元前7世紀~紀元前4世紀ごろに、ローマ建築として 紀元前6世紀~4世紀ごろに発展しました。

ギリシャ建築の影響を受けて発展したものが、ローマ建築ということになりますが、ざっくりと説明すると、何れも石を削って建築物を構築するような建築様式となっています。

代表される建築物は、パルテノン神殿です!古代の建築であるため、ディテールへの工夫よりも建築物全体としてのプロポーション、見え方がどうなるのかというのを考えられて建造された建築になっています。

パルテノン神殿(アテネ)

ビサンチン建築

ビサンチン建築は、4世紀~12世紀ごろに東ローマ帝国(ビサンツ帝国)で栄えた建築様式になります。

ビサンチン建築は、古代ローマと東方のイスラムの文化が相互に影響しあって生まれた建築様式で、ギリシャ十字(縦横の長さが同じ十字)の平面とドームから構成される大聖堂建築にその特徴が表れています。

代表される建築物は、ハギア・ソフィア大聖堂です。ドーム部はペンテンティブドームと呼ばれる形状をしており、内部に広大な空間を作り出しています。

ハギア・ソフィア大聖堂(トルコ)の外観
ハギア・ソフィア大聖堂(トルコ)の内観

ロマネスク建築

ロマネスク建築は、10世紀~12世紀ごろに栄えた中世西ヨーロッパの建築様式である。

ロマネスクの語源だと言われるロマンは古代ローマ風のという意味。ロマネスク建築は、地方の修道院から発展した建築様式で、半円アーチなど古代ローマ建築で見られた建築モチーフが使われるのが特徴となっています。

代表される建築物は、ピサ大聖堂になります。ラテン十字型(縦長の十字型)の平面プランをもち、交差部に楕円形のドームを持ちます。

ピサ大聖堂(イタリア)

ゴシック建築

ゴシック建築は、12世紀中ごろにフランスで発祥し、ヨーロッパ全土に広がりました。

ゴシック建築は、ロマネスク建築とは対照的に大都市に築かれた大聖堂を中心に発達したといえます。ロマネスク期の修道院がこぢんまりとした質実剛健な印象を受けるのに対して、ゴシック教会は、壁一面をステンドグラスにするなど、とにかく煌びやかであることが特徴です。また、建築技術の発達にともない高層化し、都市のシンボルとしても機能するようになりました。

代表される建築物は、フランスを中心として多くありますが、ここではイタリアのミラノ大聖堂を紹介します。フランスを発祥とするゴシック建築は、古代ローマ以来の建築的伝統が残るイタリアにはなじまず、国内ではわずかしかみられません。しかし、そんな中でもこのミラノ大聖堂は後期ゴシック建築の最高傑作と称されています。リブヴォールトと尖頭アーチにより高さのある天井空間を実現し、フライング・バットレス(飛梁)により外壁を薄くし、ステンドグラスなどの開口部を設けることが出来るようになっています。

ミラノ大聖堂(イタリア)の外観
ミラノ大聖堂(イタリア)の内観

ルネサンス建築

ルネサンス建築は、15世紀~16世紀中ごろにヨーロッパ全域で開花した建築様式になります。

ルネサンスとは、「再生」という意味のイタリア語「リナシタ」が語源であり、古代ギリシャ・ローマ美術に見られる人間味あふれる表現を復興するという主旨があります。ゴシック建築が演出的な神のための建築であったのに対して、ルネサンス建築は、人間に寄り添った民のための建築であったと言えます。

ルネサンス建築の特徴としては、建築家たちが人体の比例と音楽の調和を建築に組み合わせることが美の具現と信じ、設計において簡単な整数比(耳に心地よい和音の比例に対応)を用いたこと、建築の平面として集中形式を好んだことなどが挙げられます。

代表される建築物は、サン・ピエトロ大聖堂です。中央にミケランジェロが設計した壮大なドームを置き、約6万人を収容する世界最大の規模を持つローマカトリック教会の総本山になっています。

サン・ピエトロ大聖堂 (バチカン)

バロック建築

バロック建築とは16世紀末~17世紀ごろのヨーロッパ芸術の一部として位置づけられています。

バロックとはポルトガル語で「歪んだ真珠」を意味する言葉で、奇異で風変わりなものとして否定的な意味合いを持っています。ルネサンス建築が幾何学的な秩序に基づいた構成で、規範的なものであったのに対して、バロック建築ではその規則から外れ、自由で観るものに強く訴えかけるようなドラマチックさが特徴と言われています。

代表される建築物は、ベルサイユ宮殿です。パリ郊外に位置するベルサイユ宮殿は、その規模の広大さ、整然と計画された庭園計画、そして、鏡の間をはじめとする豪勢な内部装飾で有名となっています。

ベルサイユ宮殿 (フランス)の外観
ベルサイユ宮殿 (フランス)の内観
ベルサイユ宮殿 (フランス)の庭園部分

まとめ

西洋建築の歴史、その変遷を学ぶことで、街で目に入る建物を見る目が少しだけ変わり、よりヨーロッパの雰囲気を深く味わうことが出来るようになりますよ。

参考文献

「名画の読解力」田中久美子

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